「とはずがたり」とは

(A) 後深草院二条作、日記文学全5巻。

鎌倉時代後期、後深草上皇に愛された女性が過去を回想して綴った自伝的作品。

前3巻は後深草院御所の生活(愛の遍歴、快楽と苦悩)、後2巻はそれを捨てて出家し諸国行脚(東国・西国)の仏道修行に新しい生き方を求めていく女人の生涯を語ったもの。

(B) 石川雅望著、伝記全1冊。寛政3年10月25日成立。

別称『遭厄記』、『石川六樹園記』。

寛政3年4月27日の母の死から書き起こし、家業の旅宿に関する嫌疑をうけ、同年10月20日江戸構となり、同22日郊外成子村に退隠するまでの経緯を記す。

(C) 中井甃庵著、和文随筆全59段1冊。

『不問語』と書いて「トワズガタリ」と読む。

大阪懐徳堂の創建者で二代学主の甃庵が、まだ学問所預り人であった壮年に筆を執ったもので、儒教倫理を中心に世態人情、中でも家族道徳の孝道を最重要視し、自然・人事・学問・芸能・童話等に関する長短の話柄が、いずれも教訓を学ぶ姿勢で語られている。

(D) 篠崎東海著、随筆全3巻。

『不問談』と書いて「トワズガタリ」と読む。

古今のさまざまの事柄200余条にわたって、歴史・故実・地理・制度・名目・書誌などの断片的な考証を順序なく書き連ねた書。雑多な内容なので特徴を指摘することはむつかしい…。

(以上、参考資料『日本古典文学大辞典』)


 


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